大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

熊本地方裁判所 昭和38年(行)3号 判決

熊本市下通町九五番地

原告

株式会社 柏田洋服店

右代表者代表取締役

柏田芳市

右訴訟代理人弁護士

山中大吉

同市行幸町二〇番地

被告

熊本税務署長

佐藤浩

指定代理人 斎藤健

右同

大道友彦

右同

笠原貞雄

右同

宮田淳

右当事者間の昭和三八年(行)第三号審査決定取消請求事件について当裁判所は次のとおり判決する。

主文

原告の請求はいずれもこれを棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一、当時者双方の申立

一  原告の申立

(一)  被告が原告に対し

(イ) 昭和三六年三月三一日付をもつてなした昭和三〇年四月二八日から翌三一年二月二九日までの事業年度の法人税の更正処分ならびに重加算税の賦課処分

(ロ) 昭和三八年三月三〇日付をもつてなした昭和三一年三月一日から翌三二年二月二八日までの事業年度の法人税の更正処分ならびに重加算税の賦課処分

(ハ) 昭和三六年三月三一日付をもつてなした昭和三三年三月一日から翌三四年二月二八日までの事業年度の法人税の更正処分ならびに重加算税の賦課処分

はいずれもこれを取消す。

(二)  被告が原告に対し、昭和三六年三月三一日付をもつてなした昭和三三年三月一日より昭和三四年二月二八日までの事業年度以降原告の法人税青色申告書提出承認の取消処分を取消す。

(三)  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決を求める。

二  被告の申立

主文同旨の判決を求める。

第二当事者双方の主張

一  原告の主張

(一)  請求原因

1 原告は昭和三〇年四月二八日資本金二〇〇万円をもつて設立された既製洋服の小売販売を営業目的とする会社法人であり、設立と同時に被告に対し法人税につき青色申告書提出承認申請をなし、その承認を得た。

2 原告は被告に対し昭和三一年四月三〇日付で、昭和三〇年四月二八日から同三一年二月二九日まで(以下昭和三〇年度分という)の法人所得として金二三万〇、一〇二円を申告し、法人税八万〇、五三〇円を納税し、昭和三二年四月三〇日付で昭和三一年三月一日から同三二年二月二八日まで(以下昭和三一年度分という)の法人所得として金七一万九、五六七円を申告し、法人税二六万二、八〇〇円を納税し、昭和三四年四月三〇日付で昭和三三年三月一日から同三四年二月二八日まで(以下昭和三三年度分という)の法人所得として金二一万七、五三四円の欠損を、従つて法人税は零の申告をした。

3 しかるに被告は昭和三六年三月三一日付をもつて原告の前記青色申告書提出承認の処分を昭和三三年度以降取消し、同日付をもつて原告の昭和三〇年度分の法人所得を金三二三万二、四〇〇円に、法人税額を金一二八万七、三四〇円に更正し、重加算税金六〇万三、〇〇〇円を賦課する旨の、原告の昭和三一年度分の法人所得を金二八三万八、七〇〇円に、法人税額を金一二〇万三、一三〇円に更正し、重加算税金二四万二、〇〇〇円を賦課する旨の、原告の昭和三三年度分の法人所得を金六五万一、三〇〇円に、法人税額を金二一万四、九二〇円に更正し、重加算税金一〇万七、〇〇〇円を賦課する旨の各処分をなした。

4 そこで原告は昭和三六年四月二四日被告に対し右各処分の再調査請求をなしたが、被告は同年五月六日右請求棄却の決定をなしたので、原告は昭和三六年六月五日熊本国税局長に対し審査請求をなしたところ、同局長は昭和三八年二月一三日付をもつて昭和三〇年度分についての再調査請求棄却決定を取消し、同年度分の法人税額の更正処分および重加算税の賦課処分の一部を取消し、同年度分の法人所得を金一六三万二、四〇〇円に、法人税額を金六三万〇、〇四〇円に、重加算税額を金二七万四、五〇〇円とする旨の決定をなし、その余の各処分に関してはいずれも審査請求棄却の決定をなした。

5 その後被告は更に昭和三八年三月三〇日付をもつて、原告の昭和三一年度分の法人所得を金三〇三万〇、七五八円に、法人税額を金一二五万一、四七〇円に再更正し、重加算税額については従前の処分を維持し、既に納付の確定した法人税額金一二〇万三、一三〇円、納付すべき税額金四万八、三四〇円とする旨の決定をなした。

6 しかしながら被告のなした本件更正処分はいずれも後記の如く原告の所得でないものを原告の簿外所得であると認定してなしたものであるから違法であり、従つて本件重加算税の賦課処分および青色申告書提出承認の取消処分も何らの根拠を有しない違法のものであるから、いずれも取消を免れない。

(二)  違法事由

1 被告が原告の簿外資産と認定した別表第一記載の資産のうち別表第二記載のもの(但し後記(イ)(ロ)(ハ)の分を除く)についてその帰属の点を除き被告主張の如き資産が存在し、その期首と期末にその主張の増減があることおよび右(イ)の仮払金に関しては期中にその主張のとおり預金の解約・引出が為されていることは認めるが、右資産はすべて下通衣料組合の資産であつて原告の資産ではない。

すなわち訴外柏田芳信、同林田景俊、同野田富正及び同柏田芳治はもと、熊本市内でそれぞれ洋服等販売の個人経営をしていたものであるが、昭和三〇年ごろ熊本市内にデパートが進出し個人企業者に脅威を与えたため、これに対抗すべく昭和三〇年二月一五日共同出資(但し柏田芳治のみは労務出資)して、既製洋服等の販売を目的として下通衣料組合を設立し、原告設立後は、仕入費消耗品費を組合の経理で支出したが、その余の人件費、光熱費等をすべて原告に負担させ、原告の店舗を利用して原告と同種の営業をなして来たもので、組合は主として特価品を販売し、その商品は原告の商品と正札を区別して販売し、その経理も原告とは独立にして昭和三二年二月二八日解散するまで営業活動を継続した。

前記資産はすべて右組合の資産である。

ただし右のうち

(イ) 被告がそれぞれ使途不明であるとして仮払金の形で計上しているものは、昭和三二、三年度分の一三万円は右組合の買掛金の支払金であり、同一〇〇万円は組合員野田富正に対する立替払金であり、昭和三三年度分の仮払金四万三、五〇〇円および五万円は右組合の経費の支出金であり、同一〇〇万円は組合精算金として柏田芳信に支払つた金員であり、同七〇万円は内金五〇万円が組合精算金として柏田芳信に支払つた金員であり、残金二〇万円は組合の柏田芳治に対する立替金である。

(ロ) 別表第二記載のもののうち各年度分の貸付金については、右組合が昭和三〇年一二月一九日訴外柏田義一より預つた金二〇〇万円の返済金であり、原告の貸付金ではない。

(ハ) 別表第二記載のもののうち昭和三三年度分の金銭信託三〇〇万円は、右組合所有の小松繁夫、沢村保、西村勇三、西村盛好、小松里、杉浦清、杉浦美江、沢村恵吉名義の定期預金一五〇万円、青木一介名義の通知預金六〇万円、水本清の定期預金七〇万円と立替金返済金二〇万円を右金銭信託に切替えたものであり、新規のものではない。

以上の次第でもともと別表第二記載の預金等は原告に帰属するものではないから、その期中の増減は原告の所得とは何ら関係がない。

なお右組合が組合事業を開始し継続したについて被告に対し開業申告書、所得確定申告書を提出しなかつたこと、原告が組合契約書等を本件の審査段階に至つてはじめて被告に提出したことはいずれも事実であるが、組合契約書等は組合設立の際作成されていたものであるし、査察の段階でこれを税務当局に提出しなかつたのは質問を受けたこともなく機会が与えられなかつたからであつて、他に意味はない。

2 別表第一記載の資産のうち別表第三記載のものについては、仮払金以外の預金および金銭信託につきその帰属の点を除いて被告主張の如き資産が存在し、期首と期末の増減がその主張のとおりであることは認める。また仮払金についても、株式取得資金又は土地交換差金が各計上された最初の年度中にその名義人によつて支出されていること、および使途不明とされている預金解約がその主張の日に為されていること、はこれを争わない。しかしこれらの預金、金銭信託は期中の解約分を含めていずれも原告会社設立前から原告会社の役員らが個人で有した資産であり、株式取得資金又は土地交換差金も各名義人によつて支払われたもので、原告の資産とは関係がない。即ち、

(イ) 昭和三〇、三一、三二各年度分の肥後銀行本店柏田良子名義の普通預金は同人の夫の柏田芳治の個人所得よりなるものであり、これを昭和三二年に同銀行本店の通知預金五〇万円に振替えたものである。

(ロ) 昭和三〇年度分三和銀行熊本支店の柏田芳市名義の定期預金は、同個人のものである。

(ハ) 同年度分の柏田芳治名義の仮払金二〇万円は、同人が従来有した株券を処分して西日本相互銀行の株を買入れた代金である。

(ニ) 昭和三一年度分の三和銀行熊本支店柏田芳治名義の通知預金一〇万円は同個人のものである。

(ホ) 同年度分の柏田芳市外四名名義の仮払金二五万円は同人等が昭和三一年六月一九日に三和銀行の増資新株各一、〇〇〇株を買入れた代金である。

(ヘ) 同年度分の柏田芳治名義の仮払金四〇万円は同人が訴外岩永マツと土地を交換した際の差金である。

3 別表第一記載の資産のうち別表第四記載の松山一夫名義の資産の存在を否認する。

二  被告の主張

(一)  請求原因に対する答弁

第一項ないし第五項はすべて認めるが、第六項は争う。

(二)  本件各処分の根拠

1 本件更正処分の根拠

(イ) 昭和三〇年度分の法人所得については、当初の更正において、原告の申告所得額二三万〇、一〇二円に別表第一記載の原告の簿外資産の期首と期末の増減分の合計すなわち正味資産の増加分三〇〇万二、三〇一円を加算した合計三二三万二、四〇〇円(但し一〇〇円未満切捨)としたが、審査決定の際、別表第一記載の期首(昭和三〇年四月二八日現在)の資産中大垣共立銀行岐阜駅前支店に送金途上の現金一六〇万円(佐藤源治名義の通知預金解約金一三〇万円および現金三〇万円)が計上洩れであることが判明したので右一六〇万円を期首に計上した結果、正味資産の増加分は一四〇万二、三〇一円に減少し、結局同年度の法人所得額は一六三万二、四〇〇円(一〇〇円未満切捨)となつた。

(ロ) 昭和三一年度分の法人所得については、昭和三六年三月三一日付の更正処分において、原告の申告所得額七一万九、五六七円に、昭和三三年二月六日更正による増加額一〇〇万二、九〇〇円(売上洩れ一五万二、六八〇円、棚卸洩れ八四万三、〇四二円、経費否認七、一五五円)および別表第一記載の原告の簿外資産の期首と期末の増減分の合計一四七万一、一八四円を加算した合計額三一九万三、六五一円としたが、同年度分の経費として引当てるべき事業税三五万四、八七〇円が前記の如く昭和三〇年度分の課税標準額の一部一六〇万円が取消された結果、左記の如く一九万二、〇〇〇円減少することになつたので、昭和三八年三月三〇日付をもつてこれを前記合算額三一九万三、六五一円より控除した三〇三万〇、七〇〇円(但し一〇〇円未満切捨)をもつて同年度分の所得金額とした。

昭和三〇年度分事業税の計算根基

昭和三〇年分課税標準(一部取消前)三二三万二、四〇〇円

五〇万円×一〇% 五万円

二七三万二、四〇〇円×一二% 三二万七、八八〇円

計 三七万七、八八〇円……昭和三一年度の経費として計上すべき事業税額

昭和三〇年分課税標準(一部取消後)一六三万二、四〇〇円

五〇万円×一〇% 五万円

一一三万二、四〇〇円×一二% 一三万五、八八〇円

計 一八万五、八八〇円……昭和三一年度の経費として計上すべき事業税額

従つて、三七万七、八八〇円から一八万五、八八〇円を控除した一九万二、〇〇〇円が三一年度の経費として減少した分である。

(ハ) 昭和三三年度分の法人所得については、原告の申告所得欠損額二一万七、五三四円に、別表第一記載の簿外資産の期首と期末の増減分の合計額七六万二、一五七円と、公表分利益のうちの棚卸資産の計上洩れ七万九、一〇二円、減価償却額の認容過大二万九、六六九円を加算し、この合算額六五万三、三九四円より寄附金二、〇〇〇円を減算した六五万一、三〇〇円(但し一〇〇円未満切捨)である。

2 本件重加算税の賦課処分の根拠

原告の本件申告が法人税の基礎となるべき事実を隠ぺい又は仮装してなされたものであるので、前記の所得金額を基礎に算出したものである。

3 本件青色申告書提出承認の取消処分の根拠

旧法人税法第二五条第八項第三号により、原告に詐欺又は不正の行為があるものと認めてなしたものである。

(三)  原告の違法事由に対する答弁

1 原告主張の組合の存在については

(イ) 原告が簿外取引の為に使用していた各銀行の口座はすべて偽名のもので組合事業であることを証するものがないこと

(ロ) 組合事業開始の際は旧所得税法第六六条の二に基づき開業申告書を熊本税務署に提出しなければならないのに、その申告書の提出がなかつたこと

(ハ) いわゆる組合事業により生じた所得の確定申告書が提出期限までに提出されていないこと

(ニ) 原告主張の組合の設立は昭和三〇年二月一五日であり、原告の設立は同年四月二八日である。よつて訴外柏田芳治、同柏田芳信、同林田景俊等の発起人によつて当時諸種の設立準備が行なわれていたが、かかる際同種の衣料品の小売をなすために異つた企業形態をとる必要は何ら存しないこと

(ホ) 原告が組合契約書及び共同出資金分配協議書なるものを被告宛に提出したのは審査請求に対する協議官の調査の際であり、これに先立つ査察当時はかかる書類の提出もなく、又組合事業に関する申告もなされていなかつたこと

(ヘ) 原告の提出した組合契約書によれば、出資者は訴外柏田芳信、同林田景俊、同野田富正、同柏田芳治となつているにも拘わらず、右共同出資金分配協議書においては訴外柏田芳治を除いた三名によつて分配協議がなされ、右柏田芳治は右分配にあづかつておらず、組合員の構成にも疑義があること

以上の諸点より右組合事業が存在していたという根拠は全くなく、却つて、原告が定款でその目的としている事業即ち既製服、洋品雑貨等の小売を営んでいる店舗においても偽名預金を通じて仕入れた商品を同様に販売しており簿外分とそうでないものとの区別は全くなく、しかも両者の取扱商品もこれ又何れも既製服及び洋品雑貨であつてその間に区別はなかつたこと、従つてこれに要する人件費光熱費等の販売費をすべて原告が一様に負担して来た事実よりして、外観上はもとより実質的にも簿外取引も又原告の営業としてなして来たものと云うべきである。

仮に原告主張の如き組合契約が存在し組合事業としての経理が為されていたとしても、同組合員である訴外柏田芳信、同林田景俊、同野田富正、同柏田芳治はすべて原告の取締役であり、その取扱い商品は全く原告の取扱い商品と同種のもので、且つ販売も原告の各営業所において行なわれ、販売に要した諸経費もすべて原告によつて支出されていた上に、訴外人等のなした組合の取引はすべて偽名でなされていたところからみて、組合の目的は原告の所得の隠ぺい、すなわち脱税の為の手段であるもので、組合は原告の仮装手段であり、そのいわゆる組合事業は実質上原告の事業に他ならない。

2 次に原告が否認する貸付金については、

(イ) 昭和三〇年度末の柏田義一に対する貸付金一五〇万円は、昭和三一年二月二八日に原告の簿外預金である三和銀行熊本支店川村慎太郎名義の通知預金を解約し、同店から訴外広島市場株式会社の当座預金(広島銀行広島駅前支店)柏田義一口座に送金されたものである。

(ロ) 昭和三一、三二、三三各年度末の貸付金二〇〇万円は前記一五〇万円と昭和三一年八月七日に柏田義一宛に送金された五〇万円の合計額であり、この五〇万円は同日同じく原告の簿外預金である三和銀行熊本支店青木一介名義の通知預金を解約して前記柏田義一の口座に送金されたものである。

(ハ) しかも訴外柏田義一は当時広島市に在住し、菓子製造業及び広島市場建設株式会社を経営していたが、昭和三〇年八月住宅を焼失し、更に昭和三一年二月に新築した住宅を焼失しているのであつて、同訴外人に昭和三〇年一二月に金二〇〇万円を組合に預ける程の資金があつたものとは認められず、むしろ再度の火災にあつた同訴外人に対し原告が右一五〇万円と五〇万円を貸付けて再建を図らせたものとみるべきである。

3 昭和三三年度分の沢村恵吉名義の三〇〇万円の金銭信託について

これは原告の簿外の普通預金、通知預金及び定期預金より発生しているものである。

4 原告が個人資産であると主張する別表第三記載のもののうち期中に増加している資産については、

(イ) まず昭和三〇、三一、三二各年度分の肥後銀行本店の柏田良子名義の普通預金について、原告は右は訴外柏田芳治の所得よりなるものと主張するけれども、同柏田芳治は個人預金を別に三和銀行熊本支店に有しており、この預け入れ関係と個人所得との関連からみて右柏田良子名義の普通預金は原告の簿外取引によりなるものと認められる。

(ロ) 昭和三二年度分同銀行本店柏田良子名義の通知預金五〇万円(実際は五五万円であり、五〇万円としたのは被告の誤りである)は前記普通預金より振替えられたものである。

(ハ) 昭和三三年度分同銀行本店定期預金三〇万円及び仮払金中使途不明分一五万円、一〇万円合計二五万円は前記の通知預金を解約して出来たものである。

(ニ) 昭和三〇年度分三和銀行熊本支店柏田芳市名義の定期預金一一万円、柏田芳治名義の仮払金二〇万円(株式取得資金)昭和三一年度分三和銀行熊本支店柏田芳治名義の通知預金一〇万円、柏田芳市外四名名義の仮払金二五万円(株式取得資金)、柏田芳治名義の仮払金四〇万円(土地交換差金)昭和三二年度分三和銀行熊本支店柏田芳治名義の定期預金一〇万円及び同支店通知預金偽名一口分一七万七、五〇〇円はそれぞれ期中に増加した資産であるが、右各個人の所得と比較衡量して原告の簿外取引からなるものと認むべきである。

5 原告が否認する三和銀行岐阜支店松山一夫名義の普通預金について

原告が組合資産と主張すの大垣共立銀行岐阜駅前支店野田博名義の当座預金より当該普通預金に資金の一部が振替えられているので、原告の簿外資産と認められる。

6 以上のとおり別表第一記載の各資産はすべて原告の簿外の資産であり、その期中における資産の増加は原告の所得であるから、右を基礎に原告の各年度分の所得金額および法人税額を算出した本件更正処分は適法であり、右処分の取消を求める原告の請求は失当である。

第三証拠

(一)  原告

甲第一ないし第三号証、同第四号証の一ないし五、同第五号証の一、二、同第六号証を提出し、証人坂本陽生、同中島俊男、同野田富正、同柏田義一、同柏田芳治及び同柏田芳信の各証言、原告代表者本人尋問の結果を援用し、乙第二ないし第五号証、同第六号証の一、二、同第七号証の一、同第八号証の一、同第一〇号証の一、二、同第一一号証の一、二、同第一二ないし第一四号証、の成立は認め、その余の乙号各証の成立は不知。

(二)  被告

乙第一ないし第五号証、同第六号証の一、二、同第七号証の一、二、同第八号証の一ないし三、同第九号証の一、二、同第一〇号証の一、二、同第一一号証の一、二、同第一二ないし第一九号証、同第二〇号証の一ないし六、同第二一ないし第二三号証を提出し、証人小屋敷茂、同河野政司、同宮崎渉の証言を援用し、甲第一ないし第三号証、同第五号証の一、二、同第六号証の成立は認め、その余の甲号各証の成立は不知。

理由

一、請求原因第一項ないし第六項は当事者間に争いがない。そこで以下本件各処分の適否について判断する。

二、本件更正処分の適否について

(一)  本件更正処分は、別表第一記載の各資産を原告の簿外の資産とし、期中の資産増をもつてその所得であると認定し、右認定を基礎としてなされたことが弁論の経過自体から明らかであるところ、

(1)  原告は右資産のうち別表第二記載の預金および商品については、訴外柏田芳信、同林田景俊、同野田富正、および同柏田芳治が組合員となつて昭年三〇年二月一五日に設立し、同三二年二月二八日に解散した既製洋服等の販売等を目的とする下通衣料組合の資産であり、従つて右期首と期末の資産の増減分の合計は右組合の取引による所得であつて原告の簿外所得ではないと主張する。

しかしその主張自体によつても右組合なるものは原告の店舗で原告と同種の営業をして来たというのであるところ、訴外柏田芳治、同柏田芳信、同林田景俊、向野田富正が昭和三六年九月二八日付で照本国税局長宛に提出した右組合設立の趣意申立書であることに争いのない甲第一号証、証人野田富正、同柏田芳治、同柏田芳信の各証言によれば、訴外柏田芳治は原告代表者の柏田芳市の長男で、原告会社設立前は熊本市下通町九五番地で柏田洋服店を個人経営していたが、昭和三〇年四月二八日原告会社の設立により右個人経営を廃し原告の取締役副社長となつたもの、訴外柏田芳信は芳市の二男で同市下通町九九番地で柏田商店として洋服販売等をしていたが、原告の設立により右個人営業を廃し原告の専務取締役になつたもの、同林田景俊は芳治の妻良子の父で同じく同市下通町六九番地で林田洋服店を経営していたが、原告の設立により右個人営業を廃し原告の取締役になつたもの、同野田富正はもと芳市の満州時代の従業員で同市安己橋通町一番地で有限会社野田屋を経営し精肉販売をしていたが、原告の設立と同時に原告の常務取締役になつたものであること、これを要するに原告会社はこれら四名の者(柏田芳市を加えた五名としても実質的には同じことと思われる)によつて組織された同族会社にほかならぬことが明らかであるから、つまるところ右原告の主張は、問題の資産が原告の店舗で行われ、原告の役員の支配する原告と同種の営業から生じたものであることをみとめながら、これを原告とは別個の営業主体が産み出した別の資産であるという異例のことを主張していることに帰するわけである。

ところが原告は、原告会社は高級品を、組合は大衆品を、それぞれ取扱う関係から営業主体を別個にしたのだというほかには原告会社の設立と相前後してわざわざ同種営業を目的とする組合を作つた理由を説明していない(成立に争いのない乙第六号証の一、二および証人河野政司の証言によると、原告は組合の設立は昭和三〇年二月だと主張するけれども、原告が組合の取引だと主張する取引は原告会社の設立後である同年五月二日に開始されている関係になることが明らかである)のであつて、同じ店舗で両種類の商品をならべて売るのに営業主体だけを区別する意味があろうとは思われない。

そればかりでなく原告は、組合は昭和三二年二月中解散したといいながら一方ではそれよりのちの資産の増加分(特に別表第二の昭和三三年度の分)を組合の所得によるものだと主張したり、組合は相当多額の利益をあげて問題の資産を期中において増加せしめたと主張しながらその申請にかかる前掲各証人(原告の役員たち)は一致して組合は殆ど利益を計上することができぬまま解散したと証言したりしていて、その言い分は全くとりとめがない。

そのうえ、前記小屋敷証人の証言および弁論の全趣旨からすると、原告会社が税務当局に対し本件におけるような組合の存在の主張をしはじめたのは国税局における審査の段階に至つてからであつて、更正処分に先立つ査察の段階では全くそのような主張が為された事実はないこと、および問題の資産特に預金はその殆どが偽名のものであること、を肯定するに足りるから、以上のような諸事情を考えあわせると、原告のいう組合なるものは、査察の結果明るみに出てしまつた原告の簿外の資産の帰属者を原告以外に求めるため関係者が苦しまぎれに案出した架空の存在であるとみるのが相当で、かかる組合が実在し且つ営業活動を行つたかのようにいう部分の前掲野田富正、柏田芳治、柏田芳信の各証言は到底信用することができない。

従つて各期首期末に存在したことおよび期中に存在したが解約ないし引出しが為されたことについて当事者間に争いのない別表第二記載の預金および商品はすべて原告の簿外資産とみとむべきである。

(2)  右以外のこれら期中に解約され引出された預金が形をかえたものであつて同じく原告の簿外資産であると被告の主張する仮払金・貸付金・金銭信託に関し、原告はその存在ないし連関を争う趣旨の主張をしているけれども、

(イ) 各年度分の仮払金については、

証人小屋敷茂の証言および弁論の全趣旨からすると、被告が、期中に解約された簿外預金の使途に関し税務当局から原告関係者に説明ないし資料の呈示を求めたのに対し何ら的確な応答が為されなかつた分について、結局何らかの形で正規の手続によらず役員がこれを取得したものとして処理するほかないものと判断し、これを役員に対する仮払金の形で資産に計上したものであることが肯定され、かかる処理は合理性を有するものとみとめられる。これに対し原告はかかる預金の払出し分は組合の支払うべき諸支出にあてられていると主張するが、いうところの組合なる経営主体を肯定し得ないことは前記のとおりであり、その他原告の諸経費の支払にあてられたものとみとむべき証拠も存在しない。

(ロ) 各年度分の貸付金については、

証人小屋敷茂の証言及び同証言により熊本国税局係員が三和銀行熊本支店の当時の伝票等により原告関係の定期及び通知預金を調査した結果に基いて作成した定期預金表並びに通知預金表であることの明らかな乙第九号証の一、二、同証言により前記係員が同銀行熊本支店の原告の門池清二名義の普通預金の出入を調査した結果に基いて作成した調査メモであることの明らかな乙第一九号証、同証言により前記係員が前同様の方法により同銀行広島駅前支店、および広島銀行駅前支店の普通預金および当座預金の出入を調査した結果に基いて作成した調査メモであることの明らかな乙第二〇号証の一ないし六によれば、

昭和三〇年一二月一五日三和銀行熊本支店の門池清二名義の普通預金より同銀行川村慎太郎名義の通知預金一〇〇万円および同年同月二七日同様に同名義の普通預金一五〇万円が発生し、右通知預金のうち右一〇〇万円および一五〇万円のうちの五〇万円計一五〇万円が昭和三一年二月二八日解約されて右一五〇万円が同銀行広島駅前支店に送金され、更に広島銀行広島駅前支店の柏田義一の当座預金口座に入金されており、同様に昭和三一年五月一四日三和銀行熊本支店の門池清二名義の普通預金より同銀行青木一介名義の通知預金五〇万円が発生し、右通知預金が同年八月七日に解約され、右金員が前同様の方法により広島銀行広島駅前支店の柏田義一の当座預金口座に入金されていること、

右送金源となつた門池清二名義の普通預金は原告の簿外の資産であつて、原告の簿外取引による益金により発生し、その額が相当の多額になると前記の如き通知預金に預金替されていたものであること、

右柏田義一は原告代表者柏田芳市の実弟で、当時広島市に在住し菓子製造業及び広島市場建設株式会社を経営していたが、昭和三〇年八月住宅を焼失し、更に昭和三一年二月に新築した住宅を焼失していること、

がそれぞれ認められるので、結局前記の一五〇万円及び五〇万円の各金員は再度の火災にあつた柏田義一に対し原告がその再建を援助するため貸付けた金員であるものと推認することが出来る。

原告は右金員は本件組合が昭和三〇年一二月一九日に訴外柏田義一より預つた金員二〇〇万円の同訴外人に対する返済金であつて貸付金ではないと主張し、証人柏田義一、同野田富正は右各金員は訴外柏田義一が昭和三〇年一二月一九日に訴外野田富正方に現金を持参して資金の運用を組合に託してこれを同人に渡したもので、野田は内一〇〇万円を三和銀行熊本支店の通知預金に残りの一〇〇万円は同支店の普通預金に入金し、組合の商品の仕入れ等に使用していたが、組合としても利益をあげることが出来なかつたので、利益もつけずにそのまま元本だけを右預金を解約して返金したものであるが、第一回目の一五〇万円については柏田義一が謄本まで受取りに来たもので送金したものではないと証言している。しかし、組合なるものを肯定し得ない点はしばらくおくとしても、柏田義一が昭和三〇年八月に住宅を焼失していることは前記のとおりであるから、再建費用の要する時にいかに従前の事業を縮少したとは云え、同人が単に資金の運用のために原告に二〇〇万円もの大金を預ける程の余裕があつたとはにわかに考えがたいし、いうところの預金への入金や送金の関係も前顕乙第一九号証によつて支持されていないから、旁々前記の各証言部分はこれを信用することが出来ず、他に前認定に反する証拠はない。

(ハ) 昭和三三年度分の沢村恵吉名義の金銭信託三〇〇万円については

前顕乙第九号証の一、二、証人小屋敷茂の証言、同証言により熊本国税局係員が三和銀行熊本支店の当時の伝票等を調査した結果に基いて作成した調査メモであることの明らかな乙第二三号証によれば、

右金銭信託は、同支店門池清二名義の普通預金より昭和三一年四月二〇日発生した青木一介名義の通知預金五〇万円、同年四月三〇日発生した同名義の通知預金五〇万円、同年六月一二日発生した同名義の通知預金七〇万円、昭和三〇年一二月六日発生した川村慎太郎名義の通知預金一二〇万円、昭和三一年一月四日発生した同名義の通知預金一二〇万円、同年三月一五日発生した同名義の通知預金一〇〇万円、同年三月二七日発生した同名義の通知預金七〇万円、同年四月五日発生した同名義の通知預金五〇万円、同支店隅田等の普通預金より昭和三〇年八月三一日発生した川村慎太郎名義の通知預金四五万円、合計六七五万円の通知預金が昭和三一年六月一九日に解約され、内五〇〇万円が同支店の偽名の定期預金として振替えられ、そのうち更に一〇〇万円が同年一一月六日青木一介名義の通知預金に振替えられ、残額四〇〇万円の定期預金に同年一一月五日同様に川村慎太郎名義の通知より発生していた偽名の定期預金が加わつて総額六〇〇万円となつたが、昭和三二年五月一六日内四五〇万円の定期預金が解約され、そのうち更に一四〇万円が青木一介名義の通知預金に振替えられ、残額三一〇万円は解約利息が加わり三二〇万円となつて水本清名義の普通預金に入金され、昭和三二年一一月一九日新たに青木一介名義の通知預金二〇〇万円と右水本清名義の普通預金のうち五〇万円が解約されて定期預金に振替えられ、前記定期預金のうち未解約分一五〇万円と合計して四〇〇万円の定期預金が発生したが、昭和三三年一二月一六日そのうち三〇〇万円が解約されて本件金銭信託に振替えられたものであること、

しかして右金銭信託の発生源である前記普通預金及び通知預金はいずれも原告の簿外の資産であり、原告の簿外取引による益金より発生しているものであること

が認められ、他に右認定に反する証拠はない。

それゆえ、別表第二記載の資産はすべて原告に帰属するものというべきである。

(二)  原告は被告が原告の簿外資産と認定した別表第一記載の各資産のうち別表第三記載のものについては、原告の役員が原告の設立前より有した個人の預金その他であつて原告の資産ではないと主張する。(ただし、預金・金銭信託については、その存在および各期首期末の金額に争いがなく、仮払金に対しても期中の預金解約分については当該預金の存在およびその解約の日時・金額に争いがなく、株式取得資金・土地交換差金についても支払の日時金額自体には争いがない。)

よつて検討するに、証人小屋敷茂、同河野政司の証言および弁論の全趣旨からすると、

これら預金・金銭信託は、個人名義のもの偽名のもの無記名のものを通じ、その出し入れの状況等から純然たる個人の資産とみとめられる分はこれを除外し、実際上原告会社の支配利用に属していたと思われるものについて、税務当局から関係者に出所の説明を求めても個人の分であることが明らかにならなかつた分を原告の資産として計上したものであること、

仮払金のうち使途不明分としているのは、同様原告の預金とみとめられるもので期中に解約された分につき、その使途を究明しても不明であつて関係者から的確な説明の与えられなかつたものを、代表者ないし役員に正規の手続によらず払出されたものと推定し、原告会社の債権として資産に計上したものであること、

また仮払金のうち株式取得資金および土地交換差金については、当時原告会社の役員の名義で支出されたこれらの金員に関し、その出所を究明したが不明であつて関係者から的確な説明が与えられなかつたところから、これを原告の収益の中から支出されたものとみて同様に仮払金として計上したものであること、

が明らかで、

原告会社が前認定のように同族会社であること、各役員は会社設立後個人としての営業を廃し不動産・証券等から得られる若干の収入を除いては原告会社から支給される報酬がその主たる収入源となつていたこと、前記預金等も多くは偽名ないし無記名のものであつて偽名分のうちにはさきに原告の簿外預金と認定したものと同名のものがあること、も同証拠によつて肯定されるから、

これらの事実関係のもとでは右のような被告の処理は合理的であり、結局別表第三記載の資産もまたすべて原告の簿外資産とみとめるのが相当である。

(右のうち昭和三〇年度期首の預金・金銭信託は原告会社設立前すでに存在したもので、中にはそのまま次の年度以降も存続しているものもあることが同表上明らかであるから、これらが当初個人の資産であつたことはむしろ自明ともいうべきであろうが、前掲小屋敷証人の証言によると、同族会社である原告はその設立に際して役員から株金の払込ないしこれに代わる商品等の現物出資を受けただけではなくかなりの金額の個人の預金等を借受けこれを支配利用し得る状態で発足したものとみられること、そのような関係から設立初年度に関し一定範囲の預金等を原告の簿外預金として計上したについては同金額を原告の借入金として負債にも計上し、単に期中の資産負債の増減を通算した純資産の増減額だけを原告の簿外の所得又は損失として附加又は控除する扱とした、というのであつて、かかる所得の計算方法は合理的なものとして首肯するに足り、当初これらの預金等が個人資産に属したという事実は何ら被告のした所得計算を不合理ならしめる関係にはないといえる。)

そして以上の認定を左右すべき証拠はない。

(三)  原告は被告が原告の簿外の資産と認定した別表第一記載の各資産のうち別表第四記載の松山一夫名義の普通預金についてはその存在を否認するので以下判断する。

大垣共立銀行岐阜駅前支店備付の野田博名義の当座預金元帳の写しであることに争いのない乙第六号証の二、野田博名義振出、同支店宛の小切手(但し表面部分のみ)であることに争いのない乙第七号証の一、その裏面である乙第七号証の二の記載、三和銀行岐阜支店備付の松山一夫名義の通知預金記入帳および普通預金元帳の写しであることに争いのない乙第八号証の一ないし四、および証人小屋敷茂の証言によれば、

大垣共立銀行岐阜駅前支店の野田博名義の当座預金より支出されている金員はそのほとんど全部が一〇万円内外の仕入代金であるのに対し、昭和三一年三月二六日小切手により支出されている金員は一〇〇万円であり、まず仕入代金とは認められないこと、そして右小切手の裏書人は松山一夫名義であり、右により支出された一〇〇万円は同月二四日付で三和銀行岐阜支店の松山一夫名義の普通預金口座に入金されていること、三和銀行岐阜支店には熊本より送金されてくる通知預金の中に松山名義のものがあるが、右両銀行員中に右松山一夫が実在する人物である旨供述する者がいないこと、本件一〇〇万円の支出について如何なる用途の出金であるかについて原告関係者より明確な回答が得られなかつたことがそれぞれ認められるので、結局右一〇〇万円は大垣共立銀行岐阜駅前支店野田博名義の当座預金より三和銀行岐阜支店の松山一夫名義の普通預金に移しかえられた金員であると認められるところ、右野田博名義の当座預金が原告の偽名預金であることは前記認定のとおりであるから、本件松山一夫名義の普通預金はいずれも原告の簿外の預金と云うべきである。

しかして前掲各証拠によればその各年度分の期首と期末の額は被告主張のとおりであることが認められるから、結局被告主張の資産増があり且つ右は原告の簿外の所得と云うべきである。

(四)  以上認定のとおり、別表第一記載の資産の期首と期末の増減分の合計すなわち純資産の増加はすべて原告の簿外取引による所得と認められるところ、右以外の原告会社の各年度の収支の関係は争いの対象とはなつていないから、被告主張の各年度の原告の所得金額を基礎に各年度の法人税額を算出した本件更正処分は適法と云うべきである。

三、本件重加算税賦課処分並びに青色申告書提出承認の取消処分について、上叙の認定事実によれば、原告はその偽名等による取引分について故意に申告をしなかつたことすなわち本件各申告が税額の基礎となるべき事実を隠ぺい又は仮装してなされたものであること、および原告備付の帳簿書類に取引の一部を隠ぺいし又は仮装して不実の記載をなしたことは明らかであるので、原告に対し旧法人税法第四三条の二に基き前記各年度の所得金額を基礎として算出した重加算税を賦課した処分および同法第二五条第八項第三号に基き青色申告書提出承認を取消した処分はいずれも適法というべきである。

四、よつて被告のなした本件更正処分、重加算税賦課処分および青色申告書提出承認の取消処分はいずれも適法であるので、これを違法として取消を求める原告の本訴請求はいずれも理由がないので失当としてこれを棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 蓑田速夫 裁判官 久末洋二 裁判官 福富昌昭)

別表第一

1 昭和三〇年度分資産の内訳

〈省略〉

2 昭和三一年度分資産の内訳

〈省略〉

3 昭和三二年度分資産の内訳

〈省略〉

4 昭和三三年度分資産の内訳

〈省略〉

別表第二

原告の主張する組合資産

昭和三〇年度分

〈省略〉

昭和三一年度分

〈省略〉

昭和三二年度分

〈省略〉

昭和三三年度分

〈省略〉

別表第三

原告の主張する個人資産

昭和三〇年度分

〈省略〉

昭和三一年度分

〈省略〉

昭和三二年度分

〈省略〉

昭和三三年度分

〈省略〉

別表第四

原告が否認する資産

昭和三一年度分

〈省略〉

昭和三二年度分

〈省略〉

昭和三三年度分

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例